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信田 さよ子 大月書店
この本は結構お勧め。 少年事件等に言及しながら、どんな親であるべきかが 短く簡潔に、わかりやすく書かれている。 『日本の親の弱点』のところで最後の方に 「押し付けになってもいいから・・・」と書いて、本当にそうか?と疑問が残っていたのだが、見事に信田さんにひっくり返された。 現代の親子間における断絶というのは、いまだかつてない質のものである 脱力系の言葉が若者たちに共有されているのに、親は「努力」「頑張り」といった、 相変わらず力(りき)の入った生き方をしているのです。それを子どもに教え込み、 叩き込み、強制することが「親の務め」であり、愛情であると思って疑わないわけ です。 しかし、それらは子どもたちにとってとっくに意味のないことなのであり、かっこ わるいことなのです。 この違いを理解でいない親は、自分の信じる「幸福」を子どもたちに実現させよ うとします。これが子どもにとっては「支配」(コントロール)としか感じられなく なっているのです。 日本的AC(アダルト・チルドレン)とは愛情という名の支配 われわれ大人たちは、もっと子どもたちを肯定することによって供給されるエネル ギーを信じていいのではないでしょうか。 甘やかすのではないかなどというおそれは必要ありません。肯定しほめることが 甘やかしなのではなく、子どもが自分で受け止めるべき現実を、親が先に道を つくってしまうことこそが甘やかしなのです。俗にいう「親心」、子どもに苦労させ ないようにという先取りこそが甘やかしなのです。 子育てにおいて大切なことは、親がいったん自分のフィルターを通して考え行動 することです。 借り物の常識に乗っかった自信より、自信がない親の方がずっといい親だと思い ます。 そして、親の愛情とは支配とうらはらであることを十分自覚し、ときには必要悪とし ての支配を「申しわけない」と行使することです。 大人の多くが「無前提に正しいと信じていることや、思考の枠組み」が世代間で共有されていない、それが「少年の心の闇」などと言わましめるのだろう。 無前提に信じていることを疑う、というのは大変な作業だ。 でもそれをしないことには、躾などしようがないのではないだろうか。 「自分の子どもが宇宙人に見える」というやつか。 大変な時代である。 「自信を持てている親」もそういないだろうと思う。 だが「自信がないからみんなと同じことをする」でもちょっと困る。 自信がなく、迷いながらも、自分の考えを貫ける。 ・・・まったく、大変だ。 仕方ない。安直な答えなどないのだから。
by kourin-mama
| 2005-03-22 14:59
| 読書ノート
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